水漏れ

「廃墟だな!素晴らしく豪華版の水漏れ 枚方市だな。まるで絵で見るぽんぺいの廃墟だな」ときょろきょろその辺を見回しているだけで、廃墟とはいえあまりにも見事な麗しさに、我ら同様ただ茫然として眼を瞠っているだけであった。かくして弊社はまた、陽光眩しい戸外へと踵を返したが、兵員たちはせっかく再生の喜びを抱いて上陸した陸地が無人の廃墟であり、そこから土人の娘一人飛び出してくるでもなければ、犬一匹吠え付くわけでもないのに落胆したのであろう。差銃して叢に煙草を吹かしながら大欠伸をしたり、草原に寝転んでその辺に枝も繞に実っている野生の葡萄に口を動かしたりしているのであった。七市街地へ向ってさっきも、弊社はこの陸地の気候を灼熱した亜熱帯的の太陽が頭上に輝いていると言ったが、まったくそれはすぺいんかいたりあのごとき南欧諸七月初め頃の、茹るような暑熱であった。絶えず微風が面を撫でて、空気は爽やかではあったが、たたずんでいても、ぽとぽとと膏汗のにじみ出てくるほどの暑さが感ぜられた。そして今も言うとおり、ここはちょうどこの山の頂近くになっていたとみえて、かなりの高度もあれば、相当に広闊な平坦地にもなっていたが、山全体には闊葉樹が繁茂し、今登ってきた小径の両側に、橄欖樹が参差交錯して、脚下に海は横たわりながら、眺望が一切利かないのであった。