枚方市

いずれにせよ、海に泛べる道具らしきものといっては、ただ単にそれだけ、後はまったく無人の境に弊社は上陸したのであったが、まず眼ざすのはすぐ目の前から爪先上りに山を登ってゆく林間の小径であった。この道を登れば山の中腹のさっき枚方市 水漏れから眺めていた白望の家のところへ出られるであろうと、弊社は一散にその小径を駆け上ったが、七重にも八重にも山を取り繞いている羊腸たるこの小径は、道幅かれこれ二ふぃーとばかりもあったであろうか?落葉が厚く湿め湿めと散り敷いて、ここ何年にも何十年にも人の踏んだ足痕らしいものとてもなく、どこまでもただ山懐深く分け入ってゆくのであったが、やがて銃を吊った我らの一隊が歩を停めたのは、この小径の尽きたところ一面に平坦な広場となって——そしてここが山の頂上らしく、陽光煦々として明るく戯れているのであったが、——この辺の右側左側にたたずんでいる石造りの家々であった。弊社は初めてそれらの家々を眼にした時の驚きを、今でもなお、まざまざと瞼に思い浮べることができるのであったが、いずれは樵夫か猟師たちの陋くるしい小舎であろうと考えていた弊社の修理は根底から覆されて、今、これらの家の前にたたずんでは、ほとほと弊社自身の眼を疑わずにはいられなかったのであった。