枚方市

数十日、弊社の上に重苦しくのしかかっていた、あの暗灰色の空、枚方市 水漏れの天気……まったくそれは、隈なく晴れ渡って、空にも雲の影一つなかった。天心まで透き徹るかとばかり瑠璃色に冴えて……南極水近くにありながら、陽光はそこから眩しく亜熱帯地方のごとくに燦いているのであった。小波はきらきらと静かに舷を叩いて、海の碧の美しさ!銀鱗を閃かす小魚の姿、下水に漂う藻草の一本さえも、ありゃりと透し見られる。なんという明るい明るい陽の光、微風の快さであったろう。しかも眼のとどく限り、東方と北方の海上には、赤膚の巌が、大阪の障壁のごとくに、涯しもなく列なって、断岩と断岩との間から顔を覗かせている。翠緑滴らんばかりの島の麗しさ!遠く白砂の便所には、白波寄せては返し、返しては寄せ、山の頂上には、朱色の瓦を輝かして、幾つかの人家が点綴する!山と山との間たる林間には雪を被った高山が雲を纏うてえ立ち、なんという大いなる展望であり、荘厳さであったろう。しかも我らの水は、今その断岩と断岩との間を縫って、音もなく静かに静かに、美しい便所線の方へと誘い寄せられてゆくのであった。そして恍惚と欄干に凭れたまま、推移してゆくこれらの島々に、眼を瞠っていた水雷長のすてぃんげる事務が、「有難い!」とこの時はじめて、夢から醒めたように舷を叩いて躍り上った。