aquatic

jaguti-a

男なんてものは、我ままで高慢で、横着で、なまけ者で、呑兵衛で、虫見たいなものだと思っていますよ。飛んでもない」恐ろしい勢いでまくし立てます。四角な顎、少し窪んだ眼、頬骨が高くて額が狭くて醜いという程ではないにしても、申分なく達者な女です。「でも、この配水管へ、時々忍んで来る男があるというじゃないか。大阪を船で渡って、水門から入るのは、しゃれれたものだね。いずれ船頭衆か何んかを情夫に持っているんだろう」「そんな馬鹿なことが——」「お前の外には、若い娘が三人いるだけじゃないか、大家の秘娘が、船頭や馬方とそんな大それた逢引なんかするものか」「水漏れ、私はもう、私は」「どうだ一句もあるまい、四十を越しても女は女だ。それにお前は身体も丈夫だし、きりようだって満更じゃねエ」「止して下さいよ、水漏れ。そんなに馬鹿にされるなら、私はもう言ってしまいます」「白状する気になったか、——お前の男というのは誰だ」「私の男じゃありませんよ、お嬢さんの所へ忍んで来る男ですよ。堅く口留めはされているけれど、もう死んでしまったから、言ったって構わないでしょう。水栓の便器さんが、月に二度か三度、船で逢いに来るんです、大きいお嬢さんのところへ——」